BTS(防弾少年団)の影響力が、再び韓国の政治を動かすことになるかもしれない。
韓国の政党 正義党に所属するリュ・ホジョン議員は6月8日、自身のSNSにBTSのメンバージョングクの写真をアップし、「防弾少年団(BTS)の体からばんそうこうをはがして」という文を載せた。
アップされた写真を見ると、ジョングクはライブの時にはタトゥーを入れた素肌を見せているのにもかかわらず、テレビに出演する際には指や手の甲を覆って隠していることがわかる。
リュ議員はこれについて、「好きな芸能人の体についたばんそうこうを見たことがあるだろうか」と問いかけ、「よく韓国のテレビ放送に見られる、この嫌な光景はタトゥーを隠すための放送局の措置」であると説明した。
実は韓国では、国内でタトゥーを入れる行為が法律で実質禁止されている。タトゥーを自身の体に入れること自体は違法ではないが、国内で施術を行うことは医師免許がないと許されていないのだ。しかし、医師免許を持ったタトゥーイスト(彫り師)はほとんどおらず、実際は無許可で施術を行なっているのがほとんど。韓国のタトゥー技術やデザイン力は世界で高く評価されているにもかかわらず、タトゥーイストたちは常に警察による検挙や罰金徴収に怯えているのが現状だ。
しかし、ジョングクのように、タトゥーを自己表現の手段として取り入れるのは今や当たり前のこと。彼のような芸能人の影響もあってか、韓国の若者たちにとってタトゥーはとても身近なものになっており、タトゥーへの偏見やタブー視が根底にあるこの法律には以前から疑問の声が多くあがっていた。
リュ議員はこのような現状を受け、「タトゥー立法」法案を国会に提出。この法案は、申告された場所で認可を受けたタトゥーイストであれば施術ができるようになるというもの。もしこの法律が成立すれば、テレビの規制も緩和され、ジョングクをはじめとしたアーティストや芸能人たちが素肌を見せることが可能になるかもしれない。リュ議員は、「(韓国で)300万人と推定されるタトゥー市民の支持と応援の気持ちを込めて、彼らに連帯する」と述べ、法案の成立に高い意欲を見せた。