韓国の三大芸能事務所の一つ、JYPエンターテインメント(以下、JYP)の創始者であり、TWICEやNiziUの生みの親としても知られるJ.Y.Park(パク・ジニョン)が、アメリカの経済誌「Forbes」のインタビューに応え、新たなガールズグループについての構想について明らかにした。
JYPエンターテインメントには、日本でも大人気のTWICEやStray Kids、最近ではオーディション番組「Nizi Project」から誕生した「日本発K-POPガールズグループ」NiziUらが所属することで知られる。
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そのJYPの創始者であり、理事を務めるJ.Y.Parkは、「JYPの顔」といえる存在だ。「Nizi Project」での圧倒的なプロデュース力とコーチング力が話題となり、現在、日本では空前の「J.Y.Parkブーム」が巻き起こっている。
そんな彼が、アメリカの経済誌「Forbes」のインタビューに応じ、JYPのこれまでの軌跡や今後の展望について語った。その中で彼は、以前からアメリカの音楽市場に進出することを考えていたことを明かした。
JYPではこれまでにも、J.Y.Park自身やJYP初のガールズグループのWonder Girlsなどを通じて、アメリカ進出を試みてきた。しかし当時は、K-POPが今日のような世界的人気や認知を獲得する前だったこともあり、大きな成功には結びつかなかった。
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しかし時が進むにつれ、K-POPはインターネット戦略を駆使したマーケティングとプロモーション力を武器に進化し、着実に「グローバル化」の波に乗り活動の幅を広げてきた。
2018年にJYPが新たな「グローバル化」戦略として掲げたのが、「JYP2.0」の中で挙げられたテーマの一つ、「GLOBALIZATION BY LOCALIZATION」だ。「GLOBALIZATION BY LOCALIZATION」とは、世界のそれぞれの国や地域に合ったものを作りながら、世界的な進出・拡大をしていくことを指す。いわば「K-POPを世界の市場向けに輸出し、それに結びつく文化との融合を図る」ということだ。
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このテーマのもとに生まれたグループが、NiziUだ。
NiziUは、「日本語でコミュニケーションが取れる」ということが、オーディション参加条件の一つとされ、オーディションの模様は、日本の動画配信サービスHuluや、日本テレビ系のテレビ番組で放送された。オーディション内のコミュニケーションは、審査員であるJ.Y.Parkを含め、大半が日本語で行われた。
一方、オーディションでは、主にK-POPの楽曲が使用され、参加者たちは韓国語で楽曲を披露した。
こうした「K-POP」と「ローカルな要素(NiziUの場合「日本的要素」)」の掛け合わせが、JYP 2.0で掲げられた「GLOBALIZATION BY LOCALIZATION」の典型例といえるだろう。そしてこの戦略は「Nizi Project」で見事に成功したと言えるだろう。
NiziUのプレデビューシングル「Make you happy」は、日本の音楽チャートで、デビュー前の新人としては異例の大ヒットとなっており、J.Y.Park自身も「(NiziUの成績は)このレベルに行くまでに、普通は少なくても(デビューから)2、3年はかかる」と、「Forbes」のインタビューで語っている。
J.Y.Parkはインタビューで、今後、TWICEが誕生した「SIXTEEN」やNiziUが誕生した「Nizi Project」のようなオーディションをアメリカで行い「テレビ放送」する考えがあることを明かしている。Wonder Girlsのように、韓国で生まれたグループをアメリカへ輸出するという形ではなく、JYPのノウハウとスキルを生かし、K-POPの流れを受け継ぐ「アメリカのグループを誕生させる」という形で、アメリカ進出を目指しているのだ。
J.Y.Parkはインタビューで「もっとも避けたいことは、(JYPや所属しているアーティストを応援している)ファンたちをがっかりさせたり、裏切られたと感じさせること」だという。彼は、今後さらに多くのファンたちの期待に応えられるよう、より精力的に会社に貢献していくと語った。
NiziUの正式デビュー前からの大成功によって、ビジネスモデルの成功例の一つとなった「GLOBALIZATION BY LOCALIZATION」。J.Y.Parkが明かした「アメリカ版NiziU」はいつ頃誕生するのかまでは明かされなかったが、もし実現した際には、いったいどのようなモンスターグループになるのだろうか。今後もJYP、そしてJ.Y.Parkの動向に注目していきたい。