K-POPの「掛け声」文化をご存じだろうか。
「掛け声」とはアーティストの歌に合わせてファンが合いの手を入れるように叫ぶものだ。多くはアーティスト運営側から前もって公式の掛け声が提示され、ファンはそれに沿って掛け声を行う。
現在、K-POPアイドルのほとんどが掛け声システムを採用しており、そのスタイルはアーティストごとに様々だ。激しいダンスナンバーからしっとり歌い上げるバラードのような曲まで、掛け声がつく楽曲も多岐にわたる。
今回はたくさんの掛け声の中から、独特な掛け声をもつ楽曲を紹介していきたい。
1.BTS
世界的な人気を誇っているBTS。彼らの楽曲の中には掛け声がかなり難易度の高いものもある。それは「JUMP」だ。
[BTS(방탄소년단) Showcase] Boy In Luv(상남자) + Jump(점프) [ENG/JPN/CHN SUB]
元の歌詞を一部変更した部分や、ラップメンバーでメンバーと一緒に歌う部分など、ヒップホップ独特の拍に合わせて掛け声をするのがなんとも難しい。日本人ファンであれば、外国語を覚えるだけでも大変だが、この曲ではそれに加え、独特なタイミング、さらに独特なアクセントまでもをマスターする必要がある
2.MAMAMOO
圧倒的な歌唱力とステージ上でのカリスマあふれる姿が人気のMAMAMOO。並外れた音楽センスをもつ彼女たちは、ファンにもセンスを期待しているようだ。
[MAMAMOO – Egotistic] KPOP TV Show | M COUNTDOWN 180802 EP.581
序盤は一般的な掛け声と同じように、メンバーが歌う歌詞に合わせて復唱するスタイルの掛け声が続いているこの曲だが、ムンビョルのラップパートで難易度が急激にアップする。流れるようなラップの途中で突如現れる掛け声パート。タイミングが掴みづらく数回聞いただけでは覚えられない。
3.BTOB
BTOBは「掛け声」の王者と言えるかもしれない。彼らがファンに求める掛け声は相当な努力と音楽センスを必要とする。もしかすると、歌が苦手な人は掛け声をすることすらできないかもしれない。
BTOB(비투비) – ‘그리워하다’ 응원법
驚くことに、彼らの掛け声には音程がある。BTOBメンバーはファンに掛け声としてコーラス部分を任せているのだ(2:07~)。
彼らの掛け声に対する情熱はその後も止まらない。なんと今度はファンを二手に分けてそれぞれ別の掛け声を担当させている。
비투비(BTOB) – ‘너 없인 안 된다’ 응원법
ここまでくるとファンに強制的に歌の練習をさせているといっても過言ではないレベルだが、BTOBを愛するファンはこれらの掛け声を完璧にこなしている(1:26~)。
[BTOB – Only one for me] Comeback Stage | M COUNTDOWN 180621 EP.575
4.SEVENTEEN
BTOBに負けず劣らず、SEVENTEENの掛け声もかなり難易度が高い。彼らの掛け声が難しい一番の要因はメンバーの人数の多さにある。「HIGH LIGHT」や「THANKS」では約5秒の間に13人の名前を言わなくてはならない.
[ETC] SEVENTEEN(세븐틴) – 고맙다(THANKS) 응원법
そしてSEVENTEENの掛け声の中でも超難関レベルの楽曲が「HIT」だ。この楽曲の場合、頑張らなければならないパートは13人の名前だけではない。サビで待ち構えているのは超高速「SEVENTEEN」連呼(2:14~)。超人的な肺活量とラッパー並の活舌の良さが必要なこの掛け声はK-POP界でもトップレベルの掛け声だろう。
[SEVENTEEN – HIT] Comeback Stage | M COUNTDOWN 190808 EP.630
K-POPの世界では当たり前となっている「掛け声」だが、これはアーティストを心から愛するファンだからこそ可能な応援方法だろう。今回紹介した掛け声はいずれも愛なしでは覚えられない超難関レベル。しかし、どのファンもこれらを完璧に仕上げてアーティストのパフォーマンスを盛り上げている。「掛け声」文化はアーティストとファンの思いをつなぐ一つの方法なのかもしれない。