昨年末より、韓国では『音源買い占め問題』が物議を呼んでいる。
『音源買い占め問題』とは、大手の芸能事務所やプロダクション、レコード会社などが専門ブローカーを雇い、所属するアーティストの楽曲をメディアやネット上などで何度も流すことで、音楽配信チャートなどで上位にランクインするよう仕向ける不正行為のことだ。一部のブローカーは中国にサーバーを置き、依頼を受けた歌手の曲をダウンロードする方法で順位を上昇させていることから「音源買占め」という言葉が使われるようになっている。
この不正行為を行っているとされたのは、男性シンガーNiloだ。無名歌手だった彼が、特にキッカケもなく音楽チャートに浮上し、有名アーティストを凌いで音楽番組で一位を獲得したことで『何かがおかしいはずだ』とネチズンが注目。音源買い占め問題が提起されるようになった。
▼Nilo
この問題はさらに、昨年11月にBlock BのパッキョンがSNSで買い占めしているというアーティスト名を暴露したことにより大きな問題に発展した。
彼が暴露したアーティストは、2018年、2019年に突如、人気者になったアーティストばかりだ。韓国歌謡ツウなら一度は聴いたことがあるような名曲が多いためショックを受けるかもしれない。
▼Good old days
▼ If there was practice in love
この買い占め問題が、歌謡界で大きなイシューとなると、1月4日にSBS局より放送された『それが知りたい』でこの問題を特集。パッキョンが挙げた不正をしているとされる歌手の事務所まで突撃取材を行い、大きな反響を呼んだ。
国民的な歌姫IU(アイユ)も、この番組を視聴。実力でなく不正な闇取引きで一位を獲得することに怒りを露わにし、インスタグラムのストーリーに一言投稿した。
▼「その時、なんで音源買い占めするのか分かる気がしました」(男性)/「それでもやめましょうよ。頼むから」(IU)
闇業者にお金さえ払えば、すぐさま所属アーティストをチャート一位の大スターにできるという悪質な音源買い占め問題。同番組に出演したアーティストの証言によると、10年近く前から、よくある話だったそうだ。
人気ボーイズグループBTS(防弾少年団)のリーダーRMは、1月5日に韓国ソウルで行われた「第34回ゴールデンディスクアワード」の受賞コメントで、この問題について言及した。
「僕たちは本当に運がよく、多くの方の助けや様々な幸運の中で、この場でスポットライトを浴びて、このように話したいことを話すことができます。しかしそうではなく、そうはできないけれど、見えないところで今も一生懸命に音楽を作り、公明であろうと努力されているアーティストの方々がいらっしゃいます。2020年代は、その方々の公明さと努力や真心が、公正で正当に無駄にならないよう…ここにいる皆さんに、見守って下さる大衆の皆さんに届いてほしいです。2010年代に間違ったことは2010年代に終わらせて、2020年代はもっと良い時代になると嬉しいです」(RM)
なお、最年長メンバーのジンもこの問題について言及している。
まとめ
1月4日に放送されたSBSの番組『これが知りたい』によって韓国歌謡界の闇が明らかになり、不快感を抱いた人気スターたちが次々と口を開いている。
たとえ感情を揺さぶられた曲でも、ズルをしてチャートに浮上した偽物のヒット曲だったなら何の意味もない。
2020年は、誰かにとっての思い出になる曲が、偽りで作られていたという最悪の状況にならないよう不正が無くなることを願うのみだ。