労働に関する新しい法案が、K-POP業界に大きな影響を与えるかもしれないと、韓国経済新聞が報じた。アイドルを抱える芸能事務所がため息をついているという。K-POP業界は、国会が提案している「大衆文化芸術産業発展法」の改正案に反対しているようだ。
韓国の「大衆文化芸術産業発展法」は、芸能人の労働環境の改善を目的として2014年1月に交付されたが、今回、未成年の労働時間について改正案が出されている。内容は、「9歳未満は週30時間、1日6時間」、「9歳から15歳未満は週35時間、1日7時間」、「15歳以上は週40時間、1日8時間」の制限が設けられるというものだ。この改正案は、前回の国会会期末で廃案となったが、今回再提出された。
国内の主要音楽レーベルが加盟する韓国音楽コンテンツ協会は、「大衆文化アーティストの年齢層を細分化してサービス提供時間を制限する法案は、業界の現実を無視している」と改正案を批判した。
K-POPでは、若手アイドルが人気を牽引しているのが現状だ。アイドルたちはまず、事務所の練習生として厳しいトレーニングを積むため、多くは10代の頃にキャリアをスタートさせる。高校在学中に、公開練習生として活動したりデビューするアイドルも多く、学校生活と芸能活動を両立する人も多い。
NCT DREAMは、メンバー全員が未成年の「ティーンユニット」としてデビューした。今ではメンバー全員が成人し、世界トップクラスのアイドルグループに成長。NewJeansのヘインやIVEのイソは、どちらも14歳でデビューした。UNISのソウォンは2011年生まれのため、小学校を卒業したばかりの13歳でデビューしている。SMエンターテインメントから間もなくデビューするHearts2Heartsも、メンバーは全員未成年者だ。
ある芸能事務所の関係者は「カムバック期には活動に集中するが、1日あたりの時間制限があると、1つの音楽番組をこなすのがやっとだ」と嘆いた。さらに、音楽番組の出演だけでなく、ミュージックビデオの撮影、レコーディング、コンサートや授賞式、またその練習など、準備から実行までかなりの時間を要するのがK-POP業界の特徴だ。そのため、この規制はアーティストの活動の障害になるだけだという。
さらに、「自社コンテンツの撮影でも10時間ほどかかる。ミュージックビデオは既存の規制を遵守するため、2~3日かけて撮影されている。未成年アイドルに対して1日の労働時間制限を加えると、スケジュールがさらに細分化され、ヘア、メイク、スタイリングの費用が倍増する。これは結局、メンバーの収入に影響することになる。これは一体誰のための改正案なのか?」と付け加えた。
さらに、アイドルはメンバーたちと一緒にグループとして活動するため、年齢制限が逆差別になることもあるという。別の関係者は「現行の規定では、未成年のメンバーは午後10時までに退社するか、親の同意を得て活動を続行する。ある未成年アイドルは『ここは私たちの仕事であり職場なのに、年齢制限があると疎外感を感じる』と発言した」と指摘。
さらに「メンバー全員がデビューに向けて奮闘し、活動への情熱が強い。事務所も健康や教育支援に努めている。若いアーティストを守るという法案の趣旨は全面的に賛成するが、内容は実用性に欠ける。アーティスト自身もこれを『保護』ではなく『年齢制限』と捉えている。現実を直視し、関係者の声に耳を傾ける必要があるだろう」と続けた。
未成年のアイドルを守るための法案が、かえってアイドルの足かせになるのであれば本末転倒だ。しかし未成年にとって、学校とアイドル活動の長時間労働を並行するのは肉体的にも精神的にも大きな負担になる。この改正案の今後も展開が気になるところだ。
出典:https://www.hankyung.com/article/2025021465107
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