圧倒的な実力を誇るアーティスト キム・ジュンスが、約3年3か月ぶりとなる来日公演を開催した。ジュンスのパフォーマンスとファンのあたたかい愛で大きな盛り上がりを見せた熱い公演の様子を徹底レポートする。
キム・ジュンスは、2019年4月に行われた「2019 WAY BACK XIA TOUR CONCERT in JAPAN」以来、約3年3ヶ月ぶりとなる日本公演「KIMJUNSU 2022 CONCERT ‘DIMENSION’ in TOKYO」を7月8日、9日、10日の3日間にわたって東京ガーデンシアターにて開催。本記事では7月8日の公演初日の様子をレポートする。
7月8日午後7時、会場が暗転するとファンからはジュンスとの再会を喜ぶ気持ちがこれでもかというほど表れた、割れんばかりの大きな拍手が巻き起こった。VCRが流れ始め、妖艶なビジュアルのジュンスがスクリーンに映し出されると、その美しさにファンは大興奮。本人が登場する前から会場は大盛り上がりの様子だ。
熱い公演の幕開け、ファンとの再会
そしてついにジュンスが登場。金髪に黒いスーツに身を包んだジュンスは神々しいほどの成熟した魅力を放っていた。コンサートの幕開けを飾ったのは2012年リリースの、ジュンスのソロデビューアルバム「Tarantallegra」から「Fever」。会場を見渡したジュンスは「Tokyo!」と叫び、久々の日本公演の始まりを熱く盛り上げた。ダンサーと一糸乱れぬキレのあるダンスを披露しながら圧巻の声量の迫力あるボーカルを見せつけるジュンスはまさに「公演絶対強者」。1曲目からステージを完全に掌握した。
2曲目は3rdフルアルバム「Flower」から「X Song」。妖艶でダークな曲調のこの曲でジュンスは、ジャケットを脱いだ。すると、その下には背中が大きく開いた超セクシーな衣装が。深紅の照明に照らされパフォーマンスをするジュンスからは、軽く踊るだけでも妖艶な色気があふれた。
最初のセクションを終えたジュンスはMCに入った。会場のファンたちを見渡し、キラキラした瞳でうれしそうにほほえむジュンスは、先程までセクシーなステージを披露していたとは思えぬ、純粋な少年のよう。「皆さんに会いたかったので心がいっぱいになった」と語るその表情から、ファンとの再会をどれほど待ち望んでいたのか全て汲み取れるようだった。日本語の実力も健在。久々の日本語に不安とプレッシャーが大きく前日眠れなかったと明かしたが、「皆さんには通じると思います、ジュンスのファンだから」とファンへの信頼を明らかにした。
続いて披露されたのは最新アルバム「DIMENSION」から「COLOR ME IN」。明るくさわやかな曲調のこの曲とジュンスの高音ボイスの相性はバツグン。ジュンスの歌声でステージがカラフルに彩られジュンスの色で満たされるような感覚に包まれる。どんな曲も見事に消化する彼の表現力に驚かされた。
続いて上映されたVCRでは、ジュンスが様々なゲームにチャレンジしている様子が流れた。ステージ上でのカリスマ性あふれる姿とは違い、黒目がちな瞳をキラキラと輝かせながら仔犬のようなかわいさを放出させながら大きなリアクションを連発するジュンスにファンは歓喜。「かわいい〜」という声がもれた。
お題を絵で表現するゲームでは、お題を見るや否や「My Love ♡」と紙に描いたジュンス。なんと正解は「ファンの皆さん」。甘くロマンチックな愛を見せたジュンスにファンは大いに盛り上がった。
感動のバラードセクション
続いて2ndアルバム「Incredible」から「Fantasy」が披露された。夏らしいさわやかな出会いの歌で会場をバカンスのような雰囲気にした後は、大人気ドラマ「太陽の末裔」の挿入歌「How Can I Love You」が披露された。青いスーツを着て登場したジュンスはまるでプリンスのよう。プリンスジュンスが胸に手を当て心を込めて歌う甘いラブソングに、ファンはメロメロ。会場は一気にあたたかく甘い雰囲気に包まれた。圧巻の表現力で会場の空気を自在に操るジュンスに驚かされ続ける。
続いては最新アルバム「DIMENSION」から「A Low Constellation」。疲れた人を慰める歌詞が印象的なこの曲を、聴く人を癒やす心に沁みる歌声で優しく歌った。韓国語曲だが、韓国語がわからなくても曲のメッセージが伝わってくるような魂の歌声に心を揺さぶられた。「泣くように歌う」という表現をしたくなるほど感情を込めながら歌うジュンスの歌唱力に鳥肌が立つようだった。また、幸せそうな表情を浮かべ、ファンの前で歌うこの瞬間を心から楽しんでいるようなジュンスの様子も印象的だった。
そして2nd ミニアルバム「Pit A Pat」から切ない別れを描いたラブソング「Writing You」も披露された。星空の背景の前に立つジュンスはまるで星の王子さまのような出立ち。度肝を抜かされるほどの迫力ある歌声で歌われる悲しいラブソングは、1曲聴くだけで1本の映画を観たような満足感を与えてくれた。音源をはるかに超える生歌唱の完成度の高さと表現力に、ファンからは感嘆の声と盛大な拍手が送られた。
恒例のジニータイム
続いては、「ここからは!ジュンスタイム」という掛け声とともに始まった、ジュンスのコンサート恒例の「ジニータイム」。ジニータイムとは、ディズニー映画「アラジン」に出てくる魔法使い「ジーニー」にちなんで名付けられ、ジュンスがジーニーのようにファンのお願いを3つ叶えてくれるというコーナーになっている。
ファンたちはこのコーナーのために、スケッチブックにお願いを書いたり、USBやフラッシュメモリにデータをまとめてきたり、企画書や台本のようなものを作成してきたりと周到な準備をしてきている。7月8日の公演では、TikTokで流行中の「全力まるまる」と、ファン作成の「全力まるまる -ジュンスバージョン-」を披露。全力で様々な表情に挑戦するかわいらしいジュンスの姿はファンたちを喜ばせた。「全力まるまる -ジュンスバージョン-」には、ファンなら誰もが知るジュンスのキュートなポイントが練り込まれており、会場からは笑いも起こった。また、ファンが自ら演奏した伴奏の録音に合わせてDAOKO × 米津玄師の「打上花火」と東方神起の「明日は来るから」を披露したり、「Whole New World」、Paul Kimの「Every day, Every Moment」、JYJの「Fallen Leaves」を歌ったりと、ジュンスにゆかりのある曲たちがファンのリクエストで次々と披露された。懐かしい曲の連続に、涙を流すファンも見られた。
ジニータイムやMCを通じて久しぶりの日本ファンとの対話を楽しむジュンス。非常にスムーズに、穏やかに進むファンとジュンスの対話からは、絆と信頼の深さが強く感じられた。
日本語曲セクション
そしてここからは日本語曲のセクションに入った。ジュンスの名曲「悲しみのゆくえ」、中島美嘉のカバー曲「僕が死のうと思ったのは」を連続で披露した。「僕が死のうと思ったのは」は、ジュンスの深みのある歌声が曲の世界観にマッチ。悲しみや虚無感、希望まで1曲の中で移り変わる感情を完ぺきに表現した。壮大なスケール感を感じさせる力強い圧巻の歌唱力に心を震えさせられた。
ここで雰囲気は一転、赤い衣装に身を包んだジュンスは「OeO + Out Of Control + Flower」のダンスメドレーを披露した。実はこの日前半でふくらはぎを痛めてしまっていたジュンスだが、それを微塵も感じさせないキレのあるダンスを踊るジュンスからは、舞台上の王とも言えるような圧倒的なオーラとプロ意識の高さを感じられた。
ファンとのあたたかい対話
再びMCに入ると、ジュンスはまたファンとの対話を楽しんだ。この日会場には10代から80代まで非常に幅広い層のファンが足を運んでおり、最近結婚したファンやジュンスのように成功したいと語る若い青年など、ジュンスがファンの人生の大切な一部になっていることが改めて明らかになった。また、ジュンスは「皆さんと一緒に年を重ねること自体がとても好きです」と語り、「これからも一緒に歩いて行きましょう」とファンとの永い絆を約束した。そしてファンソング「HANA」を歌い、あたたかい雰囲気で本公演を終えた。
大盛り上がりのアンコール
ファンの声に応えアンコールで戻ってきたジュンスは、ジュンスのコンサートの定番「Incredible」を披露。ファンもノリノリの様子で一緒に踊りながら、会場がひとつになって大きな盛り上がりを見せた。
そして改めてファンへ感謝を伝えたジュンスは「毎回同じ言葉しかできなくてすまないけれど、やっぱり本当にありがとうございます」「この3年の間に皆さんが僕のことを忘れているんじゃないか、コンサートできるかな、正直そういう気持ちでしたがこんなに来てくれて本当にありがとうございます」と素直な心のうちを明かし、はにかみながら会場のファンたちの姿をじっと見つめた。
そしてこのコンサートの最後を飾ったのは、こちらもまたジュンスのコンサートの定番曲、大塚愛の「さくらんぼ」。この曲は昨年韓国のSNSで大ヒットした曲だが、ヒットの要因のひとつにはジュンスがこの曲をカバーしたこともあるとか。ジュンスは韓国での「元祖さくらんぼ」である。ジュンスのコンサートでは「さくらんぼ」を歌う時にファンたちが踊る定番の振付がある。(感染対策のため隣の人と肩を組む振付は変更された)かわいらしい振付を会場の全員がノリノリで踊り、ジュンスも全力でかわいさを振りまきながら「さくらんぼ」を歌って踊り切り、キュートに公演を終えた。
ジャンルを問わず、どんな曲も全力かつ完ぺきに圧倒的なクオリティで届けてくれるジュンスは最強のアーティストだと改めて実感させられた。ファンとの久々の再会に安堵し喜ぶジュンスの、ファンへの深い愛情も強く感じられる感動的な公演であった。